デジタル3店方式の概念とは?パチンコ店の3点方式から詳しく解説

ブロックチェーン技術の発展で、デジタル3店方式という新しい概念が生まれました。この概念は、まだ一般的に浸透していませんが、盛んに議論されています。

「何が合法で、何が違法なの?」「そもそも3店方式って何?」そんな疑問を持っている方も少なくないでしょう。

そこで本記事では日本で生まれたパチンコ店の3店方式の歴史から、現在のNFTにおいてのデジタル3店方式の概念について話を広げています。

難しい法律のこともわかりやすく説明しているので、デジタル市場での今後の展望が気になる方は最後まで読んでみてください。

そもそも3店方式とは?パチンコが合法なわけ

3店方式とは、パチンコ店が「賭博罪」や「風営法」などの違法性を問われないために、「パチンコ店」「景品交換所」「景品問屋」の3業種に分けて、パチンコ遊戯者が特殊景品を現金化できるようにする仕組みのことです。

日本において、特別法で認められた公営ギャンブル以外では、金銭を賭けた賭け事は禁止されており、厳しい罰則があります。

また、パチンコについても風営法で、現金又は有価証券を商品として提供することや、客に提供した商品を買い取る、いわゆる「自社買い」を禁止しています。

そこで3店方式を利用して、別個の法人が営業する3業種があることによって、合法的にパチンコ遊戯者が特殊景品を現金に交換できるのです。

パチンコ店の3店方式の仕組み

パチンコ屋・景品交換所・景品問屋から成り立つ、3店方式の仕組みを説明します。3点方式の仕組みは以下の通りです。

  1. 客がパチンコホールに来て、現金を遊戯玉(出玉)と交換する
  2. 客が遊戯で増やした出玉をパチンコホールに持参し、出玉と特殊景品を交換する
  3. 客が特殊景品を古物商である景品交換所に持参し、特殊景品を現金で買い取ってもらう
  4. 景品問屋は景品交換所から特殊景品を買い取り、パチンコホールに卸す

以上のように3つの異なる業種が、利害関係の一致により商売を成立させ、三角関係を作ることによって、パチンコ遊戯客が合法的に出玉を現金に交換することができるのです。

パチンコ店は賭博罪に問われないように、客に現金ではなく地金が入った特殊景品を出玉と交換します。その特殊景品を直接パチンコ店が買い取る「自社買い」をすると、風営法違反になってしまいます。そのため、景品交換所と景品問屋を介して特殊景品を買い取っています。

結果的には遊戯客は出玉を現金に交換することができるので、金銭の損得を争う賭け事をしているのと何ら変わりませんが、3店方式によって客もパチンコ店も罪を問われることはないのです。

3店方式の歴史

3店方式の始まりは、暴力団の不当な換金行為の対策として、元大阪府警警察官の水島年得氏が考案した「大阪方式」で、それが全国に広まったものが3点方式となっています。

戦後の日本はパチンコブームが到来していました。当時のパチンコの景品だったタバコは、価値が高く、パチンコ店に換金する仲介人がうろつくという問題が浮上しました。

その仲介に暴力団が関係していることが多かったため、暴力団の不当な資金源を作ることを警察としても食い止めなければならず、大きな課題となったのです。

そこで課題解決に立ち上がった元大阪府警の水島年得氏は、特殊景品を合法的にパチンコ店が買い取る仕組みを打ち出しました。1961年に同氏が考案した最初の3店方式である「大阪方式」は全国に広まり、パチンコ業界の景品交換行為健全化に貢献しました。

また、この大阪方式は景品換金業務を未亡人や障害者などの社会的弱者を雇用する仕組みをとっていたので、社会貢献にも寄与しました。

賭博罪とは?何が違法なのか

3店方式にも関わる賭博罪とは、そもそもどういったものなのでしょうか。NFT市場が発展し、デジタル上での3店方式の形態も問題視されるなか、重要なポイントである賭博罪について詳しく説明します。

「賭博」とは、以下の全ての要件を満たす行為です。

「2人以上の者が、偶然の勝敗により、財物や財産上の利益の、得喪を争う行為であって、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまらない行為」

以上の要件が当てはまる場合、即時に賭博罪が成立し、厳しい罰則が課されることになります。

賭博成立要件は次のようになります。

  1. 2者が何かの賭け事をする。
  2. 現金や有価証券、不動産などの価値を証明できるものを賭けている
  3. その賭け事が得失行為となる

以上の行為にあたると、賭博行為になります。ただし、飲食物などの、すぐに消えて無くなってしまうものは、一時の娯楽に供する物とされ、賭博にはあたりません。

現金を賭ける競馬や、競輪、オートレースなどは、公に認められた合法の大衆娯楽として成りたっています。非合法の賭博の例として、賭け麻雀、野球賭博、賭け花札などが有名です。

また、日本ではリアルマネーをトレードするオンラインカジノは非合法なので、換金できないゲーム内コインで遊べるオンラインカジノにとどまっています。

ただし、海外で合法なオンラインカジノのゲームプレイを、日本で取り締まることは難しく、法整備が追いついていないのが現状です。

3店方式の裁判例

3店方式自体が裁判で違法となった判例はこれまでにありません。

パチンコ店であれば、出玉との対価を特殊景品とし、それを自社買いしないことで、賭博罪に問われず風営法の遵守も成り立ちます。法律が変わらない限り、正規の3点方式に則った営業をしていれば罰せられることはないでしょう。

結果的にパチンコ遊戯者は、偶然の勝敗によるパチスロで、現金の得喪を争う行為をしているので、国会でも違法性を問う議論がなされてきています。しかし、パチンコ店は「大阪方式」から形を変えずに営業をできている現状があります。

ブロックチェーン技術上で存在し得る、NTF(非代替性トークン)は物理的な形は無くとも、デジタル上で唯一無二の所有証明ができ、金銭的な価値を創出しています。特にNFTゲームはP2E(Play to Earn)としてプレイやNFTの取引で実際に稼ぐことができます。

NFTの二次取引所も存在し、ゲーム内通貨やNFTキャラクターを仮想通貨又は現金として換金することも可能です。そこで、このようなデジタル上でのゲームやコンテンツを日本の法律や判例にあてはめられるかが議論されています。

賭博に関しての厳しい法律で守られている日本では、P2Eゲーム運営者の国内展開には慎重な判断が必要となるでしょう。

デジタル3店方式とは?ブロックチェーン発展の産物

デジタル3店方式とは、NFTゲームなどのオンライン上で得た価値のあるトークンを二次流通市場へ流通させることでリアルマネーを手に入れる仕組みのことです。

まだ、デジタル3店方式の概念は完全に固まっていません。パチンコ店の3店方式のケースに当てはめて、デジタル上でのトークンや現金のやりとりに賭博罪などの違法性はないかが議論されているものを指しています。

従来ゲームはソフトを買い切り、課金なしのオフラインで楽しむものでした。昨今はオンラインゲームが主流となりつつあり、ゲーム内で使えるアイテムやキャラクターを課金して購入もできます。

さらに、ブロックチェーン技術の発展により、ゲームキャラクターやアイテムをNFTとして所有、売買ができるようになりました。取引に使われる通貨はゲーム内通貨や仮想通貨が可能ですが、それらは二次流通市場で換金するシステムが存在します。その結果、ゲームプレイでリアルマネーをゲットすることも現実的に可能になるのです。

ただ、日本では賭博の要素を満たすと、違法性を問われてゲームの運営に支障が出ます。そこでNFT業界が盛り上がるには、パチンコ店の3店方式のような合法的な方法で換金できるようなシステムが必要になるのです。

デジタル3店方式はパチンコ以外に何に使われている?違法性は?

デジタル3店方式の具体的な例は、NFTゲームでのガチャのシステムです。ガチャも有償と無償で行われるものがありますが、違法性が懸念される有償ガチャをテーマに解説します。

デジタル上での3店方式の仕組み

デジタル上での3点方式の仕組みを例として挙げるなら、NFTゲーム運営会社と2次流通市場とバイヤー(仲介人)が挙げられるでしょう。

NFTゲームが、現金などの得喪を争うような賭博性のあるコンテンツであれば、規制対象となるでしょう。また、特殊景品のような違法性のない報酬であっても、違法性が問われるため、自社買い行為はできません。

今後NFTゲームなどのブロックチェーン上で、パチンコ店の3点方式のような罪を問われない何らかのスタイルができ上がる余地があります。賭博が合法の国ではオンラインカジノやNFTゲームのガチャなど大衆の娯楽として成立しており、その波は日本にも押し寄せているのです。

具体的な法整備が進んでいない今、NFTゲーム運営会社も盛り上がりを見せるオンライン市場での積極的な展開に二の足を踏んでいるという現状があります。

NFTガチャと賭博の関連性

NFTゲームで、有償のガチャが存在しますが、賭博との関連性を問われて、場合によっては罰則を受ける可能性があります。

ガチャはいわゆる「ランダム型販売」の遊戯であり、お金を賭けて商品を獲得できるか否かを楽しむものです。子供が100円玉を入れてレバーを回すガチャも同じようなものです。

法整備が進んでいない中、スポーツエコシステム推進協議会がNFTガイドラインを公表しました。このガイドラインでも、1次流通におけるランダム性販売では、賭博罪は成立しないとされています。ただし、以下のような場合は賭博罪が成立する可能性があります。

  • 1次流通でバラ売りで価格を付ける場合
  • 販売主が価格を提示して買取を行うとき

あくまでも賭博罪が成立しないのは1次流通と2次流通に価格の関連性がないときです。

そのため、1次流通の販売者が価格を付け、その価格を認知したうえで販売すると賭博罪が形成される可能性があります。同様に販売主が価格を提示して買取を行うとその価格が2次流通にも影響を与えるため、賭博罪になるでしょう。

あくまでもランダム性販売を行い、2次流通で価値に違いがあっても、1次流通時点でその価値が反映されていない場合、賭博罪が形成されないのである。

また、1次流通の業者がオークションやアイテムの販売のような2次流通市場の運営をして、手数料をとっても賭博罪にはあたらないとされています。ただし、1次流通者が第三者に買い取らせる行為に関しては賭博罪に問われてしまう可能性が高いです。

あくまでも1次流通者の2次流通の価格設定への関与性が賭博罪が成立するかどうかを決定するのです。

今後はどうなる?法整備が待たれる

日本のお家芸とも言えるゲーム業界は海外でも市場の盛り上がりを見せており、さらにNFTの波が来て、P2Eの稼げるコンテンツとして成熟しつつあります。

日本では賭博に関しては厳しい法律規制があり、リアル社会では法規制が明確で判例も多くあります。それをデジタル上に当てはめた時に、どれが違法でどれが合法かは今議論されている最中といえます。

そのガイドラインとして発表されたのが、スポーツエコシステム推進協議会がNFTガイドラインです。今後、とりあえずこのガイドラインが指標となり、NFT業界は進んでいくでしょう。

1次流通者は2次流通の価格設定に関与することはできません。そのため、1次流通者はいかにNFTに2次流通で価値を付けるのかが重要です。

【まとめ】デジタル3店方式の法整備はこれから

デジタル3店方式の概念を少しでも理解していただけましたか。

日本で生まれた3店方式は、元警察官が暴力団排除とパチンコ店の健全な運営のために生み出した画期的な施策です。異なる業種がウィンウィンの関係を築き、社会貢献にも寄与していたのです。

デジタル上で盛り上がりを見せるNFTや仮想通貨は、我々の価値観を変える画期的な産業として価値が高まりつつあります。娯楽としてのゲームは今や実際に稼げる仕事としての要素を併せ持つまでになりました。

アメリカではすでにNFTサービスが人気を博していています。そのサービスは現金化することができますが、日本でそのようなNFTサービスを行うことは果たして賭博罪にあたらないのかということが議論されてきました。

その結果が、スポーツエコシステム推進協議会がNFTガイドラインとして公表されています。ガイドラインでは2次流通の価格設定に1次流通の販売者が関与すると賭博罪が成立する可能性があるとの見解を出しています。

あくまでも1次流通の販売者が価値を決めるのではなく、2次流通で需要と共にNFTアイテムの価値が上がっていくようなシステムを1次流通の販売者は考えていかなければならないのです。

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